【血管を広げてホカホカ入浴】

炭酸ガス入浴剤

だんだん寒くなり、ゆっくりとお風呂に入りたい季節になってきた。その際にちょっと一手間。炭酸ガス(二酸化炭素)を出す入浴剤を使うと、さらに体がポカポカになる。

入浴剤大手バスクリン(東京)などは2006年、炭酸ガスを出す入浴剤の効果を調べた研究成果を発表した。39度の湯に10分間、全身入浴した後、皮膚の血流などを1時間にわたって測った。その結果、炭酸ガスがない湯に比べ、血流が2〜3割多かった。また、皮膚の表面だけでなく、皮膚の深部の温度についても、高い状態が入浴後に維持されていたという。

「お風呂の湯と反応して出る炭酸ガスの効果によって、体が温まるんです」。そう解説してくれたのは、温泉療法専門医の早坂信哉・東京都市大教授。湯に溶けた炭酸ガスは、皮膚から体内に吸収され、手や足などの血管を広げる効果があるという。血行が良くなったことで、お風呂の湯の熱が全身に運ばれて、体全体がより温まるという具合だ。炭酸ガスはその後、呼吸によっ て肺から外に出ていく。

泡が出ている様子を見たり、触ったりするのは楽しいが、泡を直接、体に当てても思惑通りの効果は出ない。バスクリンによると、効果をもたらすのは湯の中の炭酸ガスなので、溶かしきった後が重要という。その後も一定の時間、効果が続く。

「全身の入浴でなく、足湯だけでもある程度の効果がある」と話すのは、皮膚科専門医で藤田医科大ぱんたね病院の矢上晶子教授(総合アレルギー科)。冬は、血行障害などによる足の潔齠を訴える患者が増える。洗面器やバケツなどを使い、炭酸ガスを出す入浴剤を入れて足湯をすると、血行が良くなって症状が改善するケースがあるという。

炭酸ガスを出す入浴剤は、身近な材料で手作りできる。使うだけでなく、作る楽しみもある。

必要な材料は、食用の重曹(炭酸水素ナトリウム)とクェン酸、霧吹きに入れた水だけ。食紅などで好きな色を付けると、なお楽しい。「カラフルなものが作れます」と早坂さん。使う道具は、スプーンとラップ、チャック付きのポリ袋。どれも近所のスーパーマーケットや薬局で手に入るだろう。

重曹約30cとクェン酸約15c、ひとつまみの食紅をチャック付きのポリ袋に入れ、よく混ぜる。霧吹きで少し水を入れ、さらに混ぜる。この時に水を入れ過ぎると、反応してシュワシュワと泡が出てしまうので、少しずつ加える。

よく混ぜたものをラップで包み、ギュッと固める。クッキー作りなどで使う型に入れて、星やハートの形にしてもいい。乾かして完成だ。

最初は失敗しても、次第にコツがつかめるだろう。記者も自宅で作ってみたが、霧吹きで水を入れ過ぎたのか、泡を出しながら膨らんでしまった。試行錯誤を繰り返すうちに、うまく作れるようになった。

固まりにくい場合は、塩や片栗粉を少量入れるとよい。ただし、湯に入れた後は追いだきを避ける。塩などによって給湯器にサビが出る恐れがあり要注意という。

作る際にアロマオイルを混ぜると、香りなども楽しめる。ただ、人によっては逆に香りが気になって、リラックスできないことも。また、皮膚のかぶれといった影響が起きる可能性もあるという。矢上さんは「自分や家族の体にアロマオイルが合うかどうか、確かめながら使ってほしい」と話している。(木村俊介)



(出典:朝日新聞、2020/11/21)

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