【首を支えてぐうすり快眠】

枕の選び方

ぐつすり眠りたいのに枕が合わず、様々な不調に悩んでいる人も多いのでは? 自分に合った枕はどう選べばいいのか。

枕が低すぎるとあごが上がり、高すぎるとあごが下がる。肩こりゃ頭痛のほか、いびきにもつながる。寝具メーカー「西川」で、寝具や睡眠に精通するスリープマスターに認定されている森優奈さんは「やはり高さが重要です」と話す。

寝る姿勢は、自然に立った時の姿勢をそのままキープできるのが理想。緩やかなS字形を描く首筋(頸椎)と敷布団との隙間を埋めるのが枕の役割だ。この隙間が枕の高さの目安となる。

「枕は頭をのせるものではなく、首を支えるもの」と森さん。枕を肩口に当たるまでしっかり引いて首にフィットさせる、正しい当て方も心がけたい。

良い枕の条件としてほかに、寝返りや横向き寝にも対応できることを挙げる。二晩に20〜30回とされる寝返りをしやすいよう、頭が三つ入る大きさの幅6a以上を勧める。また、横向き寝は肩幅の分、仰向け寝の時より高さが必要だ。そのため同社の枕は両サイドをやや高くしている。

枕のフィッティングを体験してみた。立った状態で首筋の隙間を測り、低め〜高めの数段階から枕を選ぶ。横になり、パイプなどの中身を出し入れしてさらに高さを調整する。合った枕は仰向きでも横向きでも首がしっかり支えられ、安心感がある。

合わない枕も試してみた。枕が高いと首が苦しく、寝返りをするにも「よいしょ」と力を入れなければならない。低い枕は肩が詰まったような感覚があり、横を向くと肩が内側に入り込んで少し痛かった。

枕の高さは、敷布団によっても変わることに注意が必要だ。敷布団の硬さによって体の沈み具合は異なる。「自宅の寝具が柔らかめか硬めか、目安だけでもわかると助言しやすい」という。

形状も素材も多様な枕。トレントやおすすめは? 約100種をそろえる伊勢丹新宿店寝具ショップを訪ねた。

寝具担当の牛木香織さんによると、最近増えているのが「分割タイプ」の枕。頭をのせた時に中身が逃げて偏ることがない。首筋だけでなく、後頭部の丸み、肩の幅に合わせ、中身を出し入れしてそれぞれ高さを調整できる。「枕は一人ひとりに合わせるという考え方に進化している」と話す。

抱き枕を使う人が増えたのもここ数年の傾向という。腰痛のため仰向きがつらい人や、横向きで寝付く人にニーズがある。体圧を分散させて身体にかかる負担を減らす。「ロフテー」の抱き枕は、抱きつきやすいS字の形。ひざをのせる穴があり、寝姿勢が安定する。

枕選びで高さと同様に重視すべきなのが感触だ。主な素材は柔らかい順にポリエステルわた、羽根・羽毛、ウレタンフォーム、パイプ、ソバ殼。「通気性や吸湿性の優劣など一長一短がある」。感触が好みでない枕は寝付きに響くという。

大切なのは適切な時期に交換することだ。素材はへたり、体形も変わる。目安はソバ殼やポリエステルわたが1〜2年、羽根・羽毛やウレタンフォーム、柔らかめのパイプが2〜3年、硬めのパイプが4〜5年としている。

コロナ禍の今、洗える素材が人気を集める。枕全体の売り上げも好調という。同店で取り扱う枕の多くは2万円前後。「自分への投資として、良い眠りを求める人が増えているのでは」

在宅勤務で注目されたのが昼寝用枕。横になって寝入ってしまわないよう、机の上などに置いて座ったまま眠る仕様だ。特殊なシェル素材を使った「テクノジェル」の昼寝用枕は、17X20×8aとコンパクトで持ち運びにも便利という。(田中陽子)



(出典:朝日新聞、2020/09/26)

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