【極端な食事制限は逆効果】

おなか周りをすっきり

コロナ禍で外出しづらい今年の夏。運動も面倒で、気づけばだらしないおなかに……。そんな悩みはありませんか。

ベルトの上にはみ出すたるみ、これは一体、何なのか。

「内臓脂肪を最速で落とす」の著書がある奥田昌子医師によると、とのプヨプヨの正体こそが内臓脂肪だという。脂肪には二の腕やあごなど全身の浅いところにつく皮下脂肪と、腹筋より奥に内臓を覆うようにつく内臓脂肪がある。男性は30代、女性は閉経前後から内臓脂肪がつきやすくなる。

この年齢で増えるのは、なぜか。

奥田さんは、ホルモンの減少との関係を指摘する。男性ホルモンは脂肪の燃焼を助ける働きがあるが、30代で分泌が減り始める。一方、女性ホルモンには、内臓脂肪の分解を促し皮下脂肪に変える働きがある。そのため、女性は若い時は内臓脂肪がつきにくいが、閉経が近づき女性ホルモンが減ると、増えてしまう。

脂肪にはエネルギーを蓄える、内臓を守る、などの役目もあるが、近年の研究で内臓脂肪が作る物質が生活習慣病やがん、認知症につながることが明かされつつある。

では、おなか周りをすっきりさせるにはどうすればよいか。

すでについてしまった内臓脂肪を燃焼させるには、有酸素運動が有効だ。奧田さんによると、息がはずむくらいの速さでのウォーキング、水泳などを30分、週5日以上するのが効果的だという。

腹筋の一つ「腹横筋」を鍛えることを提案するのは、「1日1分で腹が凹む」の著者で健康運動指導士の植森美緒さん。コルセットのように内臓を支える筋肉で、これがゆるむとおなかが出る、という理屈だ。

具体的にはずばり、「おなかを引っ込める」。まず、背筋を伸ばし、後頭部とかかとをつけて壁際に立つ。肩を壁につけ、10秒かけて、おなかを大きく引っ込める。その後さらに20秒、限界までへこませる──を続けて2回繰り返す。息を吸う勢いに頼ったり、息を止めたりせず、呼吸は普通にする。さらに、おなかを引っ込めた状態でウォーキングや家事をすることで、姿勢が 整い、腹横筋が鍛えられるという。「体幹を鍛えることは、人生100年をよりよく生きる上でとても大切」と植森さん。

さらに、やはり大事なのが毎日の食事。女子栄養大学栄養クリニック(東京都豊島区)では、健診や生活習慣の聞き取りを踏まえ、改善に向けて助言している。管理栄養士の由井美和さんによると、おなか周りが気になる人に共通するのが、生活が不規則▽甘い物や脂っこい物が好き▽運動をしない▽野菜が好きではない▽ダイエットを繰り返している▽家事や仕事で忙しく、自 分のことを後回しにしがちIなどだ。

由井さんは「遠回りのように見えて確実に効果があるのは、規則正しい生活」と断言する。ちまたには短期的な効果をうたうダイエット法があふれるが、「不自然な減量には精神的・肉体的に無理があり、長続きしない。筋肉が落ちて疲れやすく、かえってやせにくくなる恐れもあります」。特に、「○○だけ食べてやせる」は厳禁。いろいろな食材をとり、かつ食べ過ぎないこ とが美しく健やかな体づくりの基本だ。

食事のバランスを確かめるために由井さんが勧めるのが、写真やメモで食べた物を可視化すること。手軽に管理できるスマートフォンのアプリもある。「毎日きちんとするのは大変。『野菜が少ないな』と思ったら翌日に多めにとるなど、2〜3日で調整を」とアドバイスする。

意外なのが、睡眠と食欲の関係だ。奥田医師によると、睡眠不足だと食欲を高めるホルモンが多く分泌される一方、満腹感をもたらすホルモンの分泌が減り肥満につながりやすいという。(栗田優美)



(出典:朝日新聞、2020/08/29)

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