【おいしくて、体もうれしい】

緑茶を水出しで

暑くなるこの時期、氷が浮かぶ冷たい緑茶で涼を感じてみてはいかが。緑茶はお湯でいれるのが一般的だが、冷たい水でいれると甘みのあるさっぱりした味わいになり、体にうれしい成分も逃しません。

緑茶の味は、主にカテキンの渋み、カフェインの苦み、アミノ酸の甘みやうまみの割合で決まる。カフェインやカテキンのうち苦みや渋みが強い「エピガロカテキンガレート(EGCG)」は熱い湯でいれると多く溶け出すが、低温では浸出量が抑えられる。一方、アミノ酸は低温でも溶け出しやすいため、冷たい水でいれるとアミノ酸の比率が高くなり、苦みや渋みが少ない、甘みが感じられるお茶になる。

茶の成分に詳しい晨研機構果樹茶業研究部門の物部真奈美さんは「甘みを引き出すには、温度が低ければ低い方がいい。水出しはごくごく飲めて、熱中症予防にもおすすめです」と話す。

さらに、物部さんによると、水出し緑茶ならではのメリットもあるという。これまでの研究で、茶のアミノ酸の成分「テアニン」にはストレスを軽減する効果があることが明らかになっている。また、カテキンの一種で渋みの少ない「エピガロカテキン(EGC)」は低温でも浸出され、免疫細胞を活性化する作用があることが、物部さんらの研究で見つかった。

ところが、お湯でいれたお茶に多く含まれるカフェインや渋みの強いカテキンが、これらのうれしい効果を弱めてしまうという研究もあるという。「水出しにすれば、カフェインなどによって抑えられていたストレス軽減や免疫細胞を活性化する作用が得られる可能性がある」と物部さん。しかも、熱で壊れやすいビタミンCも、水出しならしっかりとれるという。

水出し緑茶は、どう作ればいいのか。東京・表参道で日本茶カフェ「茶茶の間」を営む日本茶ソムリエの和多田葺さん(42)に教えてもらった。

            ’ まず急須の中にいつもより多めの茶葉(2人分で10乍が目安)を入れ、その上に 氷を入るだけ入れる。冷水30tを注ぎ、うまみが出るまで5分ほど待てば完成だ。

和多田さんのおすすめは、いったん別のポットにうつして味見をすること。濃かったら水を足し、薄かったらもう一度急須に戻す。好みの濃さになれば、器に注いでできあがり。この方法で、同じ茶葉で10煎ほど楽しむことができ、薄くなってきたら、最後の締めはお湯でいれるのもいい。

手軽にたくさん作るには、茶葉(約10〜20c)を入れたボトル容器に冷水1リットルを注ぎ、冷蔵庫で約6時間。ボトルを振ると時間を短縮できるという。

渋みや苦みが好きな人向けの冷茶もある。8cの茶葉を急須に入れ、熱湯50cc を入れて約30秒。そこに氷を入れて5分ほど待ち、冷えたら完成。カフェインやカテキンも浸出され、シャキツとする。

「浸出する時間や水の温度、茶葉の種類などで味が変わる。トライ&エラーで自分好みの味を探してみて」と和多田さん。運動中にごくごく飲みたい時は薄め、食事に合わせるなら濃いめなど、場面にあわせていれ方を変えることもできる。

さて、おいしい緑茶を楽しんだあとに残る茶殻。いい香りがして捨てるのがもったいない。和多田さんが「良質な茶殻はそのまま食べられる」と教えてくれた。

茶殻をご飯に乗せ、ゴマ油(茶殻10cに小さじ1/8)と塩少々をかければ、簡単にご飯のお供に変身。また、しょうゆ・酒・みりんを1:1:1の割合で鍋に入れ、茶殻を約10分煮つめれば佃煮にもなる。好みでゴマや乾燥サクラエビなどを加えてもいい。ただし、茶殻は時間がたつと劣化するので、飲み終わったら早めに作るように注意したい。(藤波優)


(出典:朝日新聞、2020/07/11)

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