【家でもしっかり、産後に効果】

妊娠中の運動

新型コロナウイルスの感染が広がり、外出しづらい日々が続く。妊婦にとっては産前の運動をしたいところだが、感染時の母体や胎児への影響は不明な点も多く、不安が募る。そこで自宅など室内でも気軽にできる運動を調べた。

一般的に妊娠中の運動は、産後のスタイル維持や体力の回復に効果があるとされる。妊婦向けの水泳やジョギング、ヨガ、エアロビクスなどの教室もある。ただ、新型コロナの影響でこういった施設の営業中止が広かっている。

「マタニティビクス」と呼ばれる妊婦向けのエアロビクスを普及させている一般社団法人「日本マタニティフィットネス協会」で、インストラクターを指導している岡嵜(おかざき)悦子さん(51)に自宅でもできる運動を聞いた。産婦人科医の指導の下に開発されたマタニティビクスは、全国約330の医療機関などでも取り入れられているという。

岡嵜さんによると、室内では激しい運動をしづらいため、体力や筋力の維持、気分転換に重点を置いた運動かよいという。

まず、体力維持のために有効なのがその場での足踏みだ。5分程度、太ももを上げ下げする。腕はひじをしっかりと曲げて、振るといい。足踏みをしながら、手を頭の上に上げて背伸びをするのもストレッチ効果があるという。好きな音楽を聰いたり、テレビを見たりしながらでも、毎日続けることがポイントだ。

また、椅子に座って、キックするようにひざ下を上げる運動も有効という。むくみや足のつりを解消できる。

ほかに筋力維持のために、一つ一つの動作をゆっくりと行う「スロートレーニング」もある。中でも室内で推奨するのは、つま先を外に向けた「がに股」の状態で、ゆっくりとスクワットのように動く運動だ。ひざは伸ばしきらず、曲げきらず、5秒ほどかけて腰を上下させる。5回ほどやるだけでも効果が期待できるそうだ。

岡嵜さんはこれらの運動を窓際で行うことを勧める。日光を浴びながら運動をすると、リラックスにつながるという。転倒を防ぐため、家族らが近くに寄り添い、支え合いながら運動するのもよい。

「体力・筋力が落ちやすい時期。だからといって外に行くと感染する不安も多いと思う。ちょっとでも体を動かしてほしい」と岡嵜さんは話している。

では、妊婦がこうした運動をする際に気をつけるべき点は何だろうか。妊婦の運動に詳しい、日本医科大多摩永山病院(東京都多摩市)の中井章人院長に聞いた。

中井院長によると、前提として、運動を始めるのは安定期に入る少し前の12週以降が望ましい。異常がなければ出産直前まで運動が可能だが、後期になるほど、胎児が大きくなって体の重心かすれるので、バランスを崩して転倒しないよう、跳びはねる運動は避けた方がいいという。

また、運動の内容は、全身運動かふさわしい。筋力トレーニングなどのように息を止めたり、負荷が偏ったりするものは避ける。運動量は、普段の7割程度に抑えるのがよいという。長くとも1時間程度を目安にし、運動後はソファなどに腰掛けてクールダウン。胎動を確認し、異常があればすぐに医療機関に相談する。

また、自宅で運動する際の注意点もある。フローリングの床や敷物で転倒するリスクがないよう、靴下を脱いだり、場所を配慮したりしてほしいという。

中井院長は「運動不足になりがちな今の時期に、できるなら家でも動いてもらいたい。家に長時間いて精神的に沈みがちになると、自分にも子どもにもよくない。スポーツを一例に、なるべく楽しいことを見つけてほしい」と話している。(市野塊)



(出典:朝日新聞、2020/05/16)

戻る