【ゆっくり動いて体を整える】

「ゆるゆる系」体操

ラジオ体操など通常の体操とは異なり、大きな動きやキビキビした動作のまったくない、ゆるゆる系の体操がある。

ゆるゆる系体操を知るきっかけは70代の女性読者からの手紙だった。「3年前からモゾモゾ体操を続けています」

モゾモゾ体操? 仰向けに寝て、足を1〜2a突き出したり、あごをわずかに突き上げたり、という程度の動きで、しかも「力を入れない」「ゆっくり動く」ことがコツ、というゆるゆるした体操だった。

考案者は鍼灸師・あん摩マッサージ指圧師の資格を持つ片平悦子さん。長年、整体の仕事をしてきた。最近は一般社団法人日本パーフェクト整体普及協会を作り、整体師の養成をしている。

具体的な病名はつかないものの体調がすぐれない「不定愁訴」の人が「症状改善のために自分でできることを」と2012年に考案したという。

動きを周りの人にさとられないぐらいに体をそっと動かすのが理想的だとして、「モゾモゾ」と命名した。「体を動かしてもらうと、力を入れすぎる人や、パッパッと急いで動かす人が多いけれど、モゾモゾ体操は、その逆でやって下さい」

体操を始める前の準備の姿勢は、仰向けに寝て、両手を腰の腸骨の上あたりに置く。その際、手に力を入れすぎないよう注意する。「豆腐の上に手を置くイメージで、豆腐を崩さない程度の優しい力加減でそっと置いて下さい」

体操をする際には、足を動かす前に息を吸い、足をゆっくり動かすと同時に、息もゆっくり吐く。あごを突き上げる時にもゆっくりと。上げすぎに注意。あごが天井に声し運動が苦手な人にも簡単向くほど上げなくていい。具体的な体操の仕方は、動画サイト(https://youtu.be/GjZ71Cg2oOY)で見られる。

片平さんは「研究や実験が無いので科学的には効果は証明されていません」としつつ、実践した人だちからは、不定愁訴のほか、睡眠障害や腰痛など様々な体調不良が改善した、といった声が寄せられているという。

名称がゆるゆる系そのものなのは「ゆる体操」。肩や首、足などの筋肉やけんなど体の様々な部位の凝りや緊張をほぐして体をゆるめるために、さすったり、ツボを刺激したりする。

運動科学の研究者で、株式会社運動科学総合研究所の所長でもある高岡英夫さんが2002年に公表した。東京大学の大学院生として体育学を研究していた70年代、武道や筋トレなどのしすぎで椎間板ヘルニアを患ったのがきっかけで、体をゆるめる方法を研究し始め、それを基に考案した。

「運動の苦手な人や高齢者でもでき、続けることで体を整え、スポーツをしてもけがをしないような体作りのできる体操を考えました」と高岡さん。

基本にあるのはマッサージしてもらったり体のツボを押してもらったりする気持ちの良さだ。他の人にしてもらうのではなく、自分の体を使ってさすったり押したりする。「結果として手足など体の様々な部位を動かすことになり、体操にもなる」

「ふくらはぎひざコソコソ体操」は、ひざに反対の足をのせて動かすことで、自分でふくらはぎのツボを押す。足を動かすので太ももの筋肉だけでなく、インナーマッスルと呼ばれる「腸骨筋」も動く。「仰向けに寝てできるので、妊婦さんにもお勧め。複数の地域の助産師会が推奨しています」と高岡さんは話す。片足1〜2分は継続するといいという。

ゆる体操には、これ以外にも約100種類ある。主な方法は運動科学総合研究所が運営するサイト(http://www.yuruexercise.net/)で動画が公開されている。(大岩ゆり)



(出典:朝日新聞、2020/02/22)

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