【自分で血圧コントロール】

高血圧に注意

冬は血圧が高くなりがちな季節。ただ、高血圧は放っておくと動脈硬化につながり、脳卒中や心疾患などの重大な病気のリスクが高まる。自分自身でできる、血圧との上手な付き合い方とは。

東京都あきる野市の池谷医院を訪ねた。今日は寒いですね、とあいさつすると、循環器専門医で血圧や動脈硬化についての著書も多い池谷敏郎院長が「寒い時期は血管が縮み、血圧が上がりやすくなります」。実際、冬は高血圧の人が増えるという。

高血圧はサイレントキラー(沈黙の殺し屋)とも呼ばれる。血圧が高いままにしておくと血管に負荷がかかり、知らず知らずのうちに動脈硬化が進む。

そもそも血圧とは、心臓から送り出された血液が血管の壁を押す圧力のことだ。血液の量や血管の柔らかさなどで決まる。心臓が収縮して血液を送り出したときの値を最高血圧、心臓が拡張したときの値を最低血圧といい、この二つを測る。

日本高血圧学会によると、診察室で測る値の場合、最高血圧が140_Hg以上か、最低血圧が90_Hg以上ある場合(140/90)、高血圧と診断される。診察室では少し高めに出るため、家庭の値では、135/85以上が高血圧だ。

血圧を正常に保つために、池谷さんは「末梢血管を開くことが大切です」と話す。末梢血管は手や足などの体の末端にあり、体の隅々まで栄養や酸素を運んでくれる。この血管に血液が流れ込む抵抗が強いと血圧が上がるため、この血管を開くことが結果的に血圧を下げることにつながるという。手足の先が冷たい人や太り気味の人、喫煙者は要注意だ。

末梢血管を開くポイントの一つは有酸素運動だ。場所を選ばす、気軽にできる、と池谷さんが考えたのが「ゾンビ体操」だ。@腹部に軽く力を入れて背筋を伸ばすA上半身を揺らして腕をぶらぶらさせるB同時にその場でジョギングか足踏みを1分ほどするC足をとめて両手を握つたまま胸の前で腕をクロスし、何かを抱えるイメージで力を入れた後、20秒したら腕を下ろして脱力する。この流れを3セット繰り返す。「冷えを感じたときにすれば体も温まるし、温度が低いトイレや風呂場に行く前にやればピートショック対策にもなります」

食事も重要だ。塩分を控えるよう心がけ、ドレッシングなどの量を少なめにするといい。血圧の上昇を抑える効果があるとされる成分のGABAも注目されている。大豆もやしに多く含まれる。最新の技術を使い、GABAを多く含むトマトの開発も進んでいる。野菜や果物を食べる以外にも、ラーメンなどのスープは少し残すという心がけも大事だという。

こうした試みを続けつつ、それが結果として表れているかを知るにはきちんと記録することも欠かせない。家庭の血圧計だけでなく、最近ではウェアラブル端末も登場した。オムロンヘルスケアは昨年12月、腕時計型の血圧計の発売を開始。血圧は場所や時間帯で変わるが、これなら外出先や職場など、気になったときに測定できる。

端末を付けた腕を胸の位置まで上げ、蔕ち着いた状態で測る。歩数や歩行距離、睡眠時間なども記録でき、専用アプリでデータも管理できる。同社広報部の富田陽一さんは「生活習慣と自分の血圧の関係を知るのに役立ててもらえば」と話す。

そのときどきの結果に一喜一憂せず、1週間や1ヵ月といった長期の傾向を見ることが大切だ。池谷さんは「血圧の薬をのみ始めたらずっとのみ続けないといけないと思う人もいるが、うまく生活習慣を改善できれば薬を減らしたり、一時的に中断したりできる可能性もある。ただ、それでも血圧コントロールが困難なら、医療機関を受診してほしい」と話す。(戸田政考)



(出典:朝日新聞、2020/02/15)

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