【穴やすり減りに厂ダーニング」】

洋服のお直し

まだまだ寒い今年の冬。残りのシーズンも次の冬も長く着られるように、今から衣類のお手入れをしてみませんか?

色とりどりの糸を使って補修する「ダーニング」は、いま話題のお直しテクニック。穴のあいたニットや、すり減った靴下を補強したり、シャツのシミを隠したりすると同時に、補修した部分をあえて模様のように見せることで新たな服に生まれ変わらせることもできる。全国各地でダーニングを教えるテキスダイルデザイナーの野口光さんは、「油絵のようにいろんな色を重ねて楽しんで」と話す。

ダーニングは、針や糸のほか、「ダーニングマッシュルーム」と呼ばれるキノコ型の道具などを使う。ダーニングマッシュルームは、縫うときに補修したい部分の下に当てて使う。電球やこけし、カプセルトイ(ガチャガチヤ)の容器でも代用できるので、裁縫道具が家にあれば始められる。

様々な技法があるので、衣類のダメージや素材にあわせて好みの縫い方を選べる。

生地のすり減った部分は「ゴマシオ」で補強できる。半返し縫いの要領で表側にゴマー粒分の縫い目が現れるように縫い進めることから、野口さんが命名したという。穴あきを塞ぐ「四角」は、布を織るように縦糸と横糸を掛けていく基本のダーニング方法だ。

使用する糸はダーニング用も市販されているが、刺繍糸や毛糸など何を使つてもいいという。足りなくなったら途中で変えてもOK。野口さんは、「はじめは自分が何を縫っているかわからなくなるので、目立つ色の糸を使うといいですね」とアドバイスする。外から見えない靴下や肌着などから始めることをすすめる。

野口さんによると、ダーニングはヨーロッパの各家庭で伝承されてきたもので、やり方に正解はない。「手芸ではないので、きれいに仕上げる必要はありません」

野口さんがダーニングを教えるワークショップには、贈り物など思い入れがあるものや、子ども用の衣類を持った女性たちが集まる。手軽に始められ、家事や仕事の合間に少し集中するだけで、充実感が味わえるところも人気だという。

「傷んでいる部分だけでもいいですが、時間があれば飾りとしてたくさん施すのもおすすめ。ダーニングは、自分の手でものを直す喜びを感じられ、やり始めると止まらなくなります」

            ・ 自分で直すのが難しい場合や、サイズ調整などはプロに頼るのも手だ。洋服のお直し専門店「ママのリフォーム」などを全国展開する会社「ツヅキ」の岡本裕樹さんは、「家で裁縫をしない人が増えているようで、最近はボダンの取り付け依頼などもあります」と話す。

ママのリフォームの場合、すり切れや穴の補修には、内側にあて布をしてミシンで縫う「ミシン刺し」や、共布や目立だない部分から糸をとって傷んだ部分に織り込む「かけはぎ」がある。かけはぎは特殊な技術が必要になるため、ミシン刺しに比べると費用は高くなるが跡が目立ちにくい。上下そろいのスーツで、上着はまだ着られるのに、パンツの股下部分やポケットが破れてしまったなどの依頼も多いという。

ニットやレザー生地などは専門の補修店もあるので、衣類やダメージにあわせて使い分けたい。

サイズ調整は、単純に布を詰めただけだと、腕周りなどが着づらくなる場合もあるので、技術と知識が必要だ。ウエスト周りや袖丈の調整だけでなく、古いデザインのものを流行のシルエットにしたいなどの要望も相談可能だ。丈を出すなど物理的に難しい場合もあるが、あきらめて捨てる前’に、まずは店で相談してほしいという。(矢田萌)



(出典:朝日新聞、2020/01/25)

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