【冬の室内、乾燥を防ぐ】

湿度を適切に保つ

寒さが厳しい季節。屋内で過ごす時間が長くなりがちだが、空気の乾燥も気になるところ。湿度をコントロールして健康で快適に過ごすにはどうしたらいいだろう。

室内が乾燥していると、かぜやインフルエンザにかかりやすいとされる。その理由を、東京医科歯科大の瀬戸口靖弘特任教授は二つ指摘する。

一つは、病気の原因となるウイルスが空気中を漂いやすくなるからだ。風邪やインフルエンザの患者がせきやくしゃみで放出した微小な水の粒にはウイルスが含まれ、他の人が吸い込んで感染する。放出された水の粒は、普通は短時間で床に落ちるが、空気が乾燥していると水の粒が気化して小さくなる。空気中の浮遊時間が長くなり、感染リスクを高めてしまうという。

二つめは体のバリアー機能の低下だ。感染経路となる鼻やのどの内側は粘液で覆われている。ウイルスが粘液についても、細かな体毛が動いて侵入を防いでいる。また、鼻やのどは免疫が強い部分で、粘液中の抗体が感染を防いでいる。しかし部屋が乾燥していると粘液が蒸発して少なくなり、免疫の機能が低下。風邪やインフルエンザに感染しやすくなるという。

また「口を開けて寝て、朝起きたらのどかカラカラという状態では、かぜやインフルエンザの家族がいると感染しやすくなる」という。口や鼻の湿度を保つため、就寝中にマスクをするのも効果的だそうだ。

一方で「湿度が高くなり過ぎるのも注意したほうがいい」と瀬戸口さん。暖かく湿った環境ではカビが繁殖しやすく、胞子を吸い込むと過敏性肺炎になることがあるからだ。せきが止まらないといった症状が出る。瀬戸口さんによると、室温が25度のとき湿度は50%程度が理想的な目安だ。

適度な湿度を保つにはどうしだらいいか。エアコンを使って部屋の温度を上げると湿度が下がることが知られている。パナソニックで加湿器のマーケティングを担当する西村奈津実さんは「空気は暖まると膨張する。含まれる水の量は変わらないので、体積あたりの水分は減ってしまう」と説明する。外気の水分を集めて室内に送る家庭用エアコンも市販されているが、値段 の高さもあってあまり普及していない。ガスや灯油を燃やすストーブは排気に水蒸気が含まれるので乾燥を抑えられるが、エアコンを使う時は加湿器を併用するとよい。

加湿器は大きく3種類ある。小型で雑貨店でもよく売られているのが、水を細かな粒にして飛ばす「超音波式」だ。電気代が安い利点があるが、細かな粒は液体のままなので、蒸発しなければ床や机に落ちてしまう。また内部を掃除しないと雑菌が繁殖して部屋中にまき散らされる。一方、「加熱式」は水をヒーターで水蒸気にする仕組み。水は気体になっているため空気になじみやすく、素早く加湿できるが、機器の一部が高温になったり、電気代が高くついたりする。

三つめはぬれたフィルターに風を送り蒸発させる「気化式」だ。湿度が上がると気化しにくくなることから、湿度を自然に調整する効果もある。風を送るファンの作動音が気になったり、かさばって機器が大きくなったりしがちだが、同社では小型で静かなDCモーターを採用することでコンパクトな製品にしているという。

加湿器はどこに置いたら良いだろう。エアコンからの風は室内より暖かく乾燥している。加湿器に直接風が当たると加湿しすぎてしまうので、エアコンの反対側の壁に置くと良い。

ほかにも、室内に洗濯物などを干すことで加湿できる。また、窓に厚手のカーテンをかけると部屋の空気と窓からの冷気が遮断されて結露が発生しにくくなる。組み合わせて活用したい。 (三上元)


(出典:朝日新聞、2020/01/04)

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