【転倒や落下、切り傷に注意】

大掃除中のけがを防ぐ

2019年も残りあとわずか。そろそろ、「いつ大掃除をしようか」と考える時期だ。家中をきれいにして気持ちよく新年を迎えたいが、油断は禁物。例年、12月は掃除中のけがが多発する。掃除中に転んで骨折なんてことがないように、安全な大掃除を心がけたい。

ダスキン(本社・大阪府吹田市)は05年から崕年、大帰除に関する意識調査をしている。ここ10年の大掃除の実施率は55〜60%。12月28〜31日以内に終わらせる家庭が多いという。

東京消防庁のまとめによると、管内では14〜18年の5年間で計3852人が掃除中の事故で救急搬送された。年齢別では60〜80代が6割に上る。事故の内訳は、風呂場やマットで滑ったり、掃除機のケーブルに引っかがったりして「転ぶ」が約4割、脚立などから「落ちる」が約3割を占めた。太ももや手首、腰の骨が折れやすく、太ももの骨折は寝たきりにもつながる。特に、 大掃除をする12月は、搬送者が通常の月の2倍になるという。

では、転ぶのを防ぐには、どうすればいいだろうか。

ダスキンーサービスマスター事業部の川端正人さん(57)は「まずは足元の片付けから始めてください」と話す。掃除中はつい手作業に集中してしまい、足元をよく見ず、つまずいてしまうという。床が広いと物を置いたままにしがちになる。不用品は処分して、作業する半径1b以内には物を賢かないようにすることが、転倒予防につながるという。

また、高いところに設置されているエアコンや天井のライトなどを掃除するときは脚立などに乗ることになるが、安定性が悪いと落下につながる。2人でペアになり、グラグラしないよう1人が脚立のおさえ役になるのがいいという。高いところでの作業は決して無理をしないのが基本。もう少しで届くからといって、脚立の上で上方にめいっぱい腕を伸ばして作業するとふらついて危ない。

               横に移動したいときも、いったん脚立から降りるのが面倒で、腕を横へ伸ばして掃除しようとすると不安定な姿勢になり、落下につながる。掃除中は手に道具を持っているため、落下しても手でかばえずに大けがを負いかねない。先端にモップなどを付けられる伸びる棒や、手すりつきの踏み台を活用するのもおすすめという。

また、階段からの落下も多いという。階段は上から下へと掃除すると、ほこりを効率良くとれる。だが、川端さんは「上段から下段へ作業していくと、階段が見えにくい。下から上に掃除するほうが落下防止になります」と話す。

レンジフードの掃除では切り傷が多い。頑固な油汚れを落とそうと力を入れてこすりがちだが、金属部晶がむき出しになっていて危険。厚手の手袋が必要だ。

大掃除は住環境を見直すきっかけにもなる。例えば、段差に蛍光テープを貼ったり、人に反応するライトを足元に設置したりすると、夜間にトイレに行きやすくなる。また、踏んだマットがずれて転ばないように、滑り止めをマットの下につけるのも効果的だ。居間からトイレ、居間から寝室、寝室からトイレなど、生活の中でよく通る「生活動線」を片付けるだけでも転倒 予防につながる。高齢者の転倒予防に詳しい大阪府立大の上田哲也助教(36)は「掃除をきっかけに室内での転倒を防ぐ対策も一緒にしてもらいたい」と話す。

一人暮らしの高齢者は、もしものために家族や周囲に大掃除の計画を知らせておくのも重要だ。上田さんは「大掃除だからと張り切らず、1週間かけてもいいから無理のない範囲で取り組みましょう」と話している。(後藤一也)



(出典:朝日新聞、2019/12/14)

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