【体形変化に合った下着を】

ブラ選び

加齢とともに避けて通れないのが体形変化。特に女性は、ボリュームが落ちたり、たわんできたりするバストに悩む人も多いのでは。しかし、ワコール広報の福岡智亜紀さんは「ブラジャーを適切に選べば、体形変化のスピードを抑えることができるかもしれません」と話す。

ワコールでは社内の研究機関「人間科学研究所」で、毎年女性500〜1千人の体を50年以上にわたって計測してきた。同一人物を30年以上追跡したデータもある。

調査結果によると、20〜50代では脂肪が増えることによる変化が大きく、おなかが出る▽ウエストのくびれがなくなる▽ヒップが下がる、などが起きる。一方、60代以降になると、筋力の低下が要因となり、背が丸くなって首が前に出る▽腹部が前に出る▽ひじが伸びにくくなる▽太ももが細くなる▽ひざが曲がる、などが目立つ。

バストの変化でいえば、@胸の上部のボリュームが落ち、脇がそげるA下部がたわみ、乳頭が下向きになるB外に流れ、バスト自体が下がる、という順序をたどるという。福岡さんは「変化していく順序は全員同じで、いったん変化したあとで元に戻った人はいなかった」と話す。

「女の不調が消える本」などの著書がある医師の吉木伸子さんによると、バストを支えているのは、皮膚とクーパー靭帯という組織。加齢による皮膚のたるみは、バストが下がる原因に。皮膚の老化は、紫外線によってコラーゲン線維がダメージを受けることが主な要因だ。加齢自体は避けられないが、紫外線を防いだり、保湿したりすることが対策になる。また、皮膚の伸び縮みを生む過度な体重増減にも注意しよう。

クーパー靭帯はバストをつって支えている線維状の組織で、加齢とともに伸びたり切れたりする。運動などによる上下の振動もクーパー靭帯を傷めることにつながる。

「一度傷んでしまうと、マッサージや筋トレでバストを引き上げることは医学的には困難です」。筋トレは胸板を厚くするには有効だが、乳房は脂肪の塊。バストを上げる効果は見込めないという。「ブラジャーを適切に使い、下がるのを予防することを心がけて」とアドバイスする。

吉木さんは「谷間をつくりたいという気持ちのせいか、きつめのブラジャーをしている人も目立つ」と言う。「摩擦で皮膚が黒ずんでしまう場合もあり、肌にもよくない」。ワコールが2008年に行った調査でも、200人のうち54%が本来のサイズよりも小さいブラジャーをつけていた。

では、どのようなブラジャーが適切なのか。ワコール広報の福岡さんは、両腕を振っても肉がはみ出ないか、などのチェック項目=図=を紹介する。サイズは同じでも位置が下がったり形が変化したりすることで、若いときに合っていたブラジャーが合わなくなることもある。「特に閉経前後は体の変化が激しい時期。シーズンごとにお店で販売員にサイズチェックをしてもらうのがおすすめです」と話す。

50歳前後の人へのアンケートで「ここ数年で特に変化したこと」を聞くと、上位2位が「締め付けに抵抗感」「肩こり」。このため、商品購入の際は、肩ひもの幅が広く、伸縮のあるもの▽ワイヤがなかったり、肌側でなく表側にワイヤがあうたりするもの▽前の中央部が伸びるもの、などを選ぶとよいという。また、「脂肪がはみ出て背中に段差がつく」という悩みには、背中部分の上辺が折り返しになっているものなどがおすすめだ。実際、40代以上を対象にしたブランドではこうした点を意識した商品作りをするという。

福岡さんは「加齢にあらがうことはできませんが、下着を少し工夫すれば、キレイに見える。不安なら販売員に相談してみてほしい」と話す。(小林未来)



(出典:朝日新聞、2019/07/27)

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