【日傘で防ごう熱中症】

暑さ対策に日傘

暑さや紫外線を防ぐアイテムとして注目を集める日傘。日焼けしたくない女性を中心に使われてきたが、男性用の売り場も目立つようになってきた。暑さ対策として環境省も男女問わず使用を呼びかけている。

観測史上初めて都内で40度以上を記録するなど、「一つの災害」(気象庁)と言われた昨夏の猛暑では、熱中症で搬送される人が相次いだ。環境省は「日傘を男女問わずに使おう」とPRしている。

大同大学(名古屋市)の渡辺慎一教授は8月の屋外で、日傘のほか帽子やアームカバーなどが紫外線を遮る効果を調べた。日傘を差した場合、頭のてっぺんで94%、顔で79%の紫外線を防ぐことができた。つば付き帽子よりもやや低かったが、肩や胸などは帽子よりも広い範囲で紫外線を防いでいた。全身でみると51%ほどで、帽子をかぶりアームカバーを付けた状態と同じくらいの効果があった。

 また、渡辺教授は、気温や湿度、日射の夥響を考慮した、熱中症が発生する危険度ぞ表す指標「暑さ指数」(WBGT)を用いて、日傘の効果を調べた。晴れの条件で系材と色の異なる3種類の日傘を用いて、差した場合と差さない場合の暑さ指数を比べたところ、差した場合では平均O・9〜1・8度下がった。時間によっては最大で2・9度下かっていた。曇りの場合は晴れより小さいものの、効果は確認できた。

日本生気象学会はWBGTをレベルに応じて「危険」「厳重警戒」などと位置づける「日常生活における熱中症予防指針」を示している。WBGTが3度低下すると、このレベルが一つ下がる。渡辺教授は百傘は熱中症の危険度をIランク下げると言えるだろう」と話す。

「炎天下で無防備だと消耗してしまう。自分の身を守るすべとして日傘がある」と使用を呼びかけるのは「男も日傘をさそう会」会長の宮武和広さんだ。インターネット専業の老舗傘店「心斎橋みや竹」を営む。自身も20年以上の日傘ユーザーで、男性の日傘利用を広めるため活動している。

宮武さんによると、日傘は紫外線カット、暑さの緩和に加えて、帽子と違い髪形が崩れないという利点がある。ただ、現在のところ使っているのは主に女性。環境省によると、女性の7割が日傘を使うのに対し、男性は1割程度だという。

宮武さんに男性にも参考になる日傘選びのポイントを教えてもらった。

初心者は、持ち歩きしやすい折りたたみ傘がお薦めだ。晴雨兼用であれば、突然の雨にも対応できる。雨傘より小さいサイズでも、十分役に立つという。

機能を実感するには、生地に遮光・遮熱加工がされたものを使ってみるとよい。日本洋傘振興協議会が一定の基準を満たした傘につけている「遮熱・遮光マーク」「遮光マーク」が参考になる。

慣れてきたら、明るい水色など見た目に雨傘と間違えられない色や柄を選んでみる。曇りの日などは「日傘だ」と一目で分かった方がかえって差しやすいという。ファッションの一環として、何本か違うタイプを持ち、日によって変えても楽しめる。数年前までは男性用は黒や紺などが多かったが、最近は傘メーカーも様々なデザインのものを売り出しているという。

兵庫県の銀行員小林篤さん(34)は、夏でもスーツを着崩したくなくて、6〜7年前から日傘を愛用している。「お得意様のところに、汗をだらだらかいていくより自己管理ができているイメージになるのでは。体力的にもいい」と手放せないアイテムだ。まだ少数派ということもあり周りの視線は感じるが、「逆にいい効果。背筋がぴんとする」。ただ、「立ち振る舞いは大切」。人混みではたたむなど、使い方には気をつけているという。(杉浦奈実)



(出典:朝日新聞、2019/07/06)

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