【私の髪、洗いすぎ?】

やさしい洗髪法

汗ばむ季節になってきた。頭を洗ってさっぱりしたくなることが多くなるが、最近は、シャンプーを使わずに洗う人や洗髪の回数を減らす人もいる。正しい髪の洗い方や、適切な頻度はどれぐらいなのか。

私は汗かきで夏は朝、シャワーを浴びるときにシャンプーで洗髪しい夜も同じ。かなり力を入れてごしごし洗ってしまう。

皮膚の表面には角質と呼ばれる層がある。ここにすみついている細菌によって汗と皮脂が分解されてできた「天然のクリーム」が、角質を守り、肌の乾燥を防いでいる。だが、あまり乱暴に洗うと皮脂も菌も流してしまう。シャンプーを髪によく行き渡らせ、爪を立てずにマッサージするように洗うのがよいとされている。

「美容室マイスター」(相模原市)の甲野利治さんは「指に力を入れすぎないこと。料理用の量りを押して100〜150cになる感じ」。私は手を前後に動かして洗うことが多いが「頭頂部に向かい上下に『行って戻って』を繰り返すのがいい」と教えてくれた。毛の流れに沿った洗い方だ。

一方で、シャンプーを使わない「ノープー」や「湯シャン」と呼ばれる洗髪法も広がりつつある。

素朴美容研究家の錦織なつみさんは、湯シャンを続けて8年になる。仕事柄、たくさんの高級シャンプーを使っていたが、頭皮のかゆみが止まらず、美容院で「赤く炎症を起こしている」と言われたそうだ。

そんなときネットで湯シャンの存在を知った。「すごく抵抗があった」が、思い切って挑戦したところ、頭皮の状態がだんだん落ち着き、かゆみも気にならなくなったという。美容室で毛穴を鰕察してもらったところ、皮脂の詰まりもなかった。「皮脂汚れは重曹水で、汗かきなら酢やレモン汁で洗うのもいいでしょう」と話す。

花王によると、液体シャンプーが普及し姶めたのは1960年代のこと。それまでは髪をくしやブラシでとかして汚れを落としたり、せっけんを使ったりしていた。またそもそも、日本人は歴史的に、’そんなに頻繁に髪を洗っていたわけではない。

平安時代は年に1回程度。江戸時代から第2次大戦後ごろまで月1〜2回だった。内風呂の普及と液体シャンプーの登場で増え、80年代の「朝シャン」ブーム到来を経て、今では「ほほ毎日」が多いようだ。

花王の吉田寛上席研究員は「洗髪後、24時間で皮脂量は7〜8倍になり、分解されて頭皮刺激やにおいの原因になる。1日1回程度のシャンプー洗いで皮脂は完全にはなくならず、洗いすぎではない」と話す。皮膚臨床薬理研究所(東京都渋谷区)の北澤秀子相談役は「朝シャンをすると皮脂が回復しないうちに洗い流してしまい、頭皮が乾燥する。汚れ具合にもよるが、洗髪は2日に1回でいい」という。

東京都新宿区の「若松町こころとひぷのクリニック」の檜垣祐子院長は「健康な人は毎日洗ってもいいと思うが、アトピー性皮膚炎など乾燥肌の人にはシャンプーは週に2回、あとはお湯だけで」と話す。

ただ美容に関するさまざまな情報があふれる中、「シャンプーは何かいい」とか「洗髪は週に何回でなければ」などとノウハウ化することには慎重だ。

髪や頭皮の状態は、健康状態と密接に関連する。髪はケラチンというたんぱく質でできており、日中に受けたダメージを寝ている間に再生する。良い状態を保つには良質のたんぱく質を取る必要があるが、ストレスを受けると末梢の血管が縮小して栄養が届きにくくなり、抜け毛につながる。

「必要以上に洗って臭いを消す傾向かあるが、むしろ皮膚のトラブルをきっかけに健康を考え直すぐらいの気持ちを持ってほしい。自分に快適かどうかを大切にし、自分らしくやればいいのです」(勝田敏彦)


(出典:朝日新聞、2019/06/22)

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