【白髪を生かして、おしゃれに】

グレーヘア

年齢とともに増える白髪を隠すように染めるのではなく、白髪をいかしたグレーヘア(グレイヘア)を選ぶ人が増えている。グレーヘアをおしゃれに楽しむにはどうすればいいのだろうか。

「白髪があることで、おしゃれの選択肢が広がります。ただし、単に白髪染めをやめるだけで何もしなければ、やはり白髪染めをしている時より老けて見えるだけです。おしゃれに楽しむためには、いくつかひけつがあります」。美容室「タンガ・ニーラ・オリーブ」(東京都世田谷区)マネジャーの手束繭美さんは言う。手束さんたちは10年以上前からグレーヘアを希望する顧客に対応してきた。「まずは、日常の頭皮と毛髪のケアをきちんとして、髪のツヤや質感を保つことが大切です」

頭皮と毛髪のケアの基本は正しい洗髪とよく乾かすこと。お湯で髪を十分にぬらしてからシャンプーをつけ、よく泡立てて洗う。爪を立てないようにして頭皮もきちんと洗う。シャンプーやコンディショナー(トリートメント)はよく洗い流す。洗髪後はドライヤーで、毛の流れを整えながら根元から毛先までよく乾かす。

こういった基本的なケアは黒髪でも同じだが、グレーヘアの場合にとくに重要なのは、「より髪がぱさついて見えやすくなるからです」と、花王ヘアケア研究所の杉野久実主任研究員は説明する。髪がつややかに見えるのは、毛流れがそろっている状態の時だ。髪全体が同じ色なら、毛流れが多少乱れていても目立だないが、グレーヘアは白髪と黒髪のコントラストがはっきりしているために、乱れが目立ち、ツヤの無いぱさついた髪に見えやすくなるという。

杉野さんによれば、髪そのものの性質は黒髪も白髪もそれほど変わらないので、グレーヘアだからとヘアケア製品を変える必要はないという。「シャンプーもコンディショナーも、洗い流した後の指通りのいい製品が毛流れをそろえるのにはいいのでお薦めです」

おしゃれなグレーヘアにする第二のひけつは、「個性にあったヘアスタイルやヘアカラーの選択」と手束さんは言う。その際、考慮するのは、髪全体に白髪が占める割合や、どの部分に白髪が多いかという分布、顔の形や肌の色、服装の好みなど。また、白髪と言っても真っ白とは限らず、グレーがかった色や黄色っぽい色など色みは様々なので、その点にも配慮する。

必ずしも髪を一切、染めないのではなく、白髪の割合や分布、色みによっては、黒髪とのコントラストを和らげたり、肌の色などに似合う色にしたりするために、グレーやベージュといった中間色などで部分的に染めるのも一つの選択肢だという。

「美容室のスタイリストは色々な方法を知っています。よく相談してみて下さい」

また、花王ヘアケア研究所の杉野さんは 「グレーヘアでおしゃれに見せたいなら、メイクや服飾にも気を使う必要があります」と指摘する。

ところで、「私はやっぱり黒髪が好き」という場合、白髪を染めずに黒髪に戻すことはできないのだろうか。毛髪科学研究会代表世話人の大山学・杏林大学医学部教授’(皮膚科)は「研究はされていますが、現時点では染めた方が早いです」と話す。

髪が黒いのは、髪の毛ができる際、髪の毛をつくる毛母細胞に、色素細胞がメラニン色素をつくって渡しているからだ。加齢などで色素細胞の働きが衰えたり、色素細胞の数が減ったりすると、毛母細胞にメラニン色素が行かなくなり、髪に色がつかずに白く見える。大山さんによると、色素細胞を活性化・補充したり、色素細胞の基になる細胞を再生させる方法などが研究されているが、実用化の見通しはまだ立っていないという。(大岩ゆり)


(出典:朝日新聞、2019/06/01)

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