【高齢者の肥満 筋力をつけるような運動が大切】

昨年、日本老年医学会が高齢者の肥満症に関する診療ガイドラインを作りました。年を取っても、健康を保つにはどんな体形がいいのでしょうか。

一般に、肥満の判定に使われるのは、体重(キログラム)を身長(メートル)の2乘で割った数値(BMT)だ。この値が25以上が肥満、22が最も病気が少ない標準体重とされる。しかし、高齢者はこの基準が必ずしも当てはまらないとガイドラインは指摘する。高齢でBMTが高いことは死亡や認知疱のリスクにならず、リスクが減るという報告もある。

作成に関わった東京都健康長寿医療センターの荒木厚・内科総括部長(62)は「中年期の肥満は死亡や認知症のリスクを高めるが、高齢者は低栄養で体重が減っていく方が危険」と話す。年を取ってからの急激な体重減少は、認知症の発症リスクになるという。

ただし、高齢者は肥満であっていいというわけでもない。筋力がないのに内臓脂肪は多い「サルコペニア肥満」に注意が必要だ。転倒、大腿骨の骨折、死亡などのリスクが高まる。体重を落とすため、エネルギーを制限する場合も、たんぱく質はきちんととり、筋力をつけるような運動をすることが大切だ。

高齢者の運動に詳しい伊奈病院(埼玉県)の石橋英明・整形外科部長(57)は「サルコペニア肥満の人は、強度の低い運動から始めて、だんだん強度を上げていくのがいい」と話す。ウォーキングなら、毎日20〜30分のんびり歩くところから始める。慣れたら同じ時間でも「早足歩きで1分、のんびり歩燉で2分」を繰り返すなどして強度を上げていく。

下半身の筋力強化にはスクワットがいい。肩幅より少し広めに両足を広げて、前傾姿勢で腰を後ろに引きながら、ゆつくりひざを曲げ伸ばしする。俊敏さを高めるには、いすからの立ち座りを素早く繰り返す。バランスカアップには片脚立ちがいい。背中などの柔軟性を保つには、かかと、お尻、背中を壁につけて立ち、両手を挙げて壁に近づける「壁ストレッチ」が効果的だ。ただし、痛みが出たら休もう。(水戸部六美)



(出典:朝日新聞、2019/03/30)

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