【筋肉とアミノ酸 高齢者はたんぱく質摂取を意識して】

加齢に伴う筋肉量と筋力の低下を防ぐためには、日々の食事でたんぱく質を十分に摂取することが鍵を握っています。最近では、たんぱく質を構成するアミノ酸のうち、筋肉を作るのに重要な役割を果たす種類も分かってきました。

筋肉は合成と分解が繰り返され、そのバランスで筋肉量が維持される。だが、高齢者は筋肉を合成する力が低下するため、バランスが崩れて筋肉量が減ってしまう。順天堂大学スポーツ健康科学研究科の鈴木良雄先任准教授によると、一般成人が1日に必要なたんぱく質の量は、体重1`グラム当たりO・8c。だが、高齢者の場合は、体重1`グラム当たり1グラム程度を取った方が良いそうだ。

東京都健康長寿医療センター研究所の金憲経さんは「BCAAと呼ばれる、口イシン、イソロイシン、バリンというアミノ酸が重要だ」と話す。特に、体内でロイシンの濃度が高まると、筋肉の元になるたんぱく質の合成が進むことも分かってきた。

金さんらのチームは、筋肉量と筋力が低下した「サルコペニア」の状態にある80歳ぐらいの高齢者155人を対象に、アミノ酸と運動の効果を検証した。運動に加えてロイシンを高配合したアミノ酸をサプリメントで取る群、運動だけの群、アミノ酸を取るだけの群、座学の健康教育だけ実施した群、の4群に分けて3ヵ月後に効果をみた。すると、健康教育群以外では下肢の筋肉量が有意に増加。ただし、運動をした2群では筋力も高まったが、アミノ酸を取るだけの群では高まらなかった。

高齢者は、歩行が不自由になると社会活動が低下するなどの悪循環に陥るため、特に筋力の低下予防が重要だ。金さんは「アミノ酸を取るだけではだめ」と話し、運動を心がけるように勧める。

ロイシンは牛肉の赤身や鶏むね肉、納豆などに多く含まれ、食事で十分に摂取できる。ただし、鈴木さんは「若いときよりも食べる量が減っている高齢者は、意識してたんぱく質を取る必要がある」と指摘。サプリメントで補うことも効果的だとしている。(月舘彩子)



(出典:朝日新聞、2019/03/02)

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