【健康増進に温泉を 適応症を理解して正しく入浴】

寒いこの季節は、温かい温泉が恋しくなります。「体に良さそう」というイメージはありますが、実際のところはどうなのでしょうか。温泉の効能や、入るときに気をつけたいことを調べました。

私かよく行く近所の温泉の壁には、「一般的適応症」として「筋肉もしくは関節の慢性的痛みまたはこわばり」 「軽症高血圧」などが、「泉質別適応症」として「きりきず」「末梢循環障害」「冷え性」などが書いてある。

適応症とは、治療効果が期待できる病気や症状のこと。日本温泉気候物理医学会理事で、国際医療福祉大大学院の前田真治教授(リハビリテーション学)は「2005年以降の国内・海外の研究論文から、効能が立証されたものだけを挙げている」と話す。

このうち一般的適応症は、温泉の質を問わないもので、泉質別適応症は泉質ごとに定められる。私の近所の温泉の場合、「塩化物泉」という泉質からこうなるというわけだ。

九州大学病院別府病院は「鉱泥浴」(こうでいよく)と呼ばれる特別な方法で線維筋痛症の温泉治療を行っている。前田豊樹准教授(内科)は「患者さんの痛みが、平均で治療開始前の4分の1程度まで軽くなる」という。

温泉にメリットはあるが、気をつけたい点もある。食事の直前・直後や飲酒後に入浴を控え、入浴の前後には水分をたっぷり取ることなどだ。十分に効果を得るには、2〜3週間程度の期間が必要であることも知っておきたい。また熱があるときや、持病が悪くなりつつあるときなどは、入ってはいけない。なお、かつて「入ってはいけない」とされていた妊婦は、2014年に国の通知が変更され、入ってもよいことになった。

国際医療福祉大の前田教授は「温泉は万病に効くわけではないが、肩こりや腰痛を和らげるし、リラックスの効果もある。正しく使うことで健康増進に役立ててほしい」と話す。

ウェブで入手できる環境省のパンフレット「あんしん・あんぜんな温泉利用のいろは」が参考になる。(勝田敏彦)



(出典:朝日新聞、2019/02/16)

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